江戸時代の結婚の適齢期は?
童謡「赤とんぼ」によって、「昔の人は15才で結婚するのが普通だった」という誤解が広まっていることは、以前書きました。
確かに昔は現在に比べれば、男女ともに早婚の傾向にありました。
しかし、平均結婚年齢を15才とするのには無理があります。
宗門人別帳を調べる
実際に、江戸時代における平均結婚年齢を調べるには、当時の宗門人別帳を参考にすれば分かります。
宗門人別帳とは、現在の戸籍のようなものです。
宗門人別帳はキリスト教禁制によって始められた制度でしたが、事実上、住民を管理するための戸籍としての機能を持っていました。
家族構成が記され、年齢や続柄などが記されています。
村ごとに毎年のように作成されたので、これを見れば、当時の人の家族の移り変わりがよく分かります。
当然、家系図作成調査にとって、大変重要な資料となるものです。
もしも、先祖が江戸時代に住んでいた村の宗門人別帳をすべて見られれば、江戸初期までの先祖が一気に判明します。
しかし、保存されているものが少ないのが残念です。実際、宗門人別帳が一冊も残っていない地域も多いのです。
参照記事
宗門人別改帳の調査
江戸時代の平均結婚年齢は?
本題に戻ります。
江戸時代の平均結婚年齢は、地域差がありますが、おおむね男性20代後半、女性20歳前後です。
平均結婚年齢には特徴的な傾向があって、家の経済力によって結婚する年齢が異なってくるのです。
貧しい家庭では晩婚の傾向が見られ、男性30代前半、女性20代後半くらいです。
現代の平均初婚年齢とほぼ同じですね。
身分・経済格差と、結婚年齢の関係
なぜ、貧しい家庭では結婚が遅れるのかというと、以下のように考えられると思います。
貧しい家では、子どもを他家に奉公に出すのです。
奉公とは、住み込みの使用人のようなものです。奉公を終えてから結婚をすることになるので、奉公をしないものに比べて、当然結婚が遅れることになります。
また、こうした事情を反映して、富裕な家庭では夫婦の年齢差が大きく、貧しい家庭では夫婦とも同じくらいの年齢になります。