家系図作成と資料の閲覧不可の問題
家系図を作成するのであれば、通常、戸籍調査から取りかかります。
戸籍には個人情報がたくさん書いてあります。
これも見れば、出生事項や親族情報などが、明らかになります。
こうした情報が、家系図作成の上で、とても有益な情報となるのは言うまでもないことです。
しかし、戸籍は、このような個人情報満載の文書であるゆえに、むやみに他人に見られるのは面白いことではありません。
現在では無いと思いますが、就職の際などに、戸籍謄本を提出させる会社もあったそうです。
戸籍調査には制限がある
現在は、個人情報の取り扱いに厳しい制限がされておりますので、戸籍の閲覧は、誰にでも簡単にできるものではなくなりました。
戸籍に出ている人か、その直系子孫にあたる人でないと、閲覧できないように、決められております。
壬申戸籍は絶対に閲覧不可
また、最古の戸籍である壬申戸籍(じんしんこせき)については、直系の子孫であっても、絶対に閲覧を許可されません。
どのような理由があろうとも、断られます。
また、戸籍には保存年限があり、すでに古い物は廃棄されております。
壬申戸籍にも廃棄されているものがあるかもしれません。
その後、作成された明治19年式戸籍や明治31年式戸籍、大正4年式戸籍もすでに廃棄されているものもあります。
幸い、2010年に保存年限が、これまでの80年から150年に延長されましたので、現在保存されている戸籍は、しばらくのあいだ廃棄されることは無いでしょう。
しかし、これに安心して、「そのうち時間ができたときに、家系図を作ればいいや」と、先延ばしにすると、後で困ったことになるかもしれません。
参照記事
壬申戸籍の記載内容について
戸籍の保存期間は150年
宗門人別帳は個人情報保護のため閲覧不可
年々、個人情報の扱いが厳しくなっています。
「個人情報」の定義が、拡大解釈され、不合理とも思える事態があらゆるところで生じていて、家系図作成の妨げになっています。
例えば、宗門人別帳というものがあります。
宗門人別帳は、江戸時代に作られた戸籍のようなものと考えていただければ良いと思います。
現在、宗門人別帳の閲覧を、禁じられるケースがあるのです。
理由は、個人情報保護というものです。
宗門人別帳に記載されている人は、江戸時代に生きた人たちです。
果たして、そういった方の“個人情報”が、不正に利用されることが、あるのでしょうか?
参照記事
宗門人別改帳の調査
分限帳も個人情報保護のため閲覧不可
また、分限帳の閲覧も制限されているケースがあります。
分限帳とは、武士の職員録のようなものです。
分限帳の閲覧も、個人情報保護の名目で、直系子孫以外の方は閲覧不可とされているところもあります。
分限帳に出ている先祖の直系子孫であることを、証明するのは容易なことでは、ありません。
実際に、先祖が分限帳に掲載されていても、子孫であることを証明できないために、閲覧を断られているはずです。
それに、分限帳は職員録ですから、家族情報のような「個人情報」で溢れているわけではありません。
このような資料を見て、どのように「個人情報」が不正に利用されるおそれがあるのでしょうか。
参照記事
分限帳の調査
個人情報保護は今後も強まっていく…
現在、個人情報保護を理由に、先祖を調べるのに有効な資料が、次々に閲覧不可となっているのです。
こうした傾向は、今後さらに強まるでしょう。
戸籍についても、正直今後どうなるか分かりません。
こういったことも考慮して、先祖調査は、一日でも早くされることをお勧めします。
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家系図作成における個人情報保護について