明治維新という歴史的断層
先祖調査をしていると、順調に進んでいたのに、ある時代を境に情報が途切れて、急に難航してしまうことがあります。
大きな歴史的な断層とでも言うべきものに、突き当たるのです。
明治維新というのは、一つの断層です。
確かに、「明治維新」というのは、歴史上とても大きな出来事です。
これが、どのように先祖調査に影響を及ぼしてくるのでしょうか?
考えてみたいと思います。
江戸時代と明治時代では、あたる資料が全然違う
まず、明治維新の前後では、先祖調査で扱う資料がまるで違うという点を指摘したいと思います。
江戸時代の先祖調査であれば、身分ごとにどういった資料にあたれば良いのかというのが決まっています。
武士ならば、「分限帳」や藩に提出した「家系図」などをあたることになります。
農民や町人ならば、「宗門人別帳」を見ていきます。
分限帳の調査
宗門人別帳の調査
ところが、明治維新後になると、江戸時代に武士であった家系でも、農民・町人の家系であっても、戸籍を中心に見ていくことになります。
このように、明治維新という断層を経て、調査にあたる資料が異なるのです。
先祖調査の難易度が異なる
明治時代以降に作成された戸籍に比べれば、分限帳や宗門人別帳は情報量が少なく、残存しているもの自体、とても少ないです。
したがって、戸籍調査によって調査が可能な時代と、それ以前とでは、先祖調査の難易度がまるで違ってくるのです。
参照リンク
戸籍調査から家系図を作成する方法
江戸時代と明治時代では、苗字・名前が異なる
次に明治維新を経て、いろいろなことが改まっている点も指摘しておきましょう。
例えば、江戸時代と明治時代では改姓や改名をしているケースがあります。
こうした場合、同一人物であっても江戸時代の資料と明治時代の資料とで、名前が異なってくるのです。
そうなると、資料との照合が難しくなります。
参照リンク
先祖が改姓した理由
先祖が苗字を変えている
ご先祖様が改名しているケース・旧官名禁止令
明治初期に移動している場合も
また、武士であれば、廃藩置県によって、食い扶持がなくなってしまったので、明治以降には職業が変わっているはずです。
江戸時代の居住地から離れたところに移り住むものもいました。
江戸時代の居住地が分からないと、それ以前の先祖調査が難しくなるのは、これまでに述べてきたとおりです。
参照リンク
先祖の職業の調べ方・本家の位置を調査しよう!
廃仏毀釈と神道国教化の影響
それから、明治政府によって推し進められた廃仏毀釈と神道国教化の影響も見逃せません。
これによって、廃寺となった寺院もありましたし、還俗した僧侶もいます。
また、神社においては、神主の世襲が制限されたり、神社の統廃合がすすめられました。
このような明治初期の宗教政策によって、寺院や神社に混乱があったので、過去帳や寄進帳といった先祖調査の資料となるものが、散逸してしまったのです。
参照リンク
神主だった先祖の家系図作成調査
僧侶だった先祖の家系図作成調査
先祖調査のとりあえずの目標は明治維新まで
以上、見てきたように明治維新はとても大きな出来事であり、多くの社会的変化をもたらしました。
それが先祖調査をする上でも、大きな影響を及ぼしているのです。
先祖調査をするのであれば、いきなり江戸時代まで視野に入れるのではなく、とりあえず明治維新まで遡るのを目標に設定してみたほうが良いと思います。