直系先祖の戸籍請求が拒否される?
直系の先祖が出ているのにも関わらず、戸籍請求を拒否される場合もあります。先祖と自分との関係を戸籍上証明できない可能性が、ほんの僅かでもあるときには、請求を拒否されることがあります。
「先祖と自分との関係を戸籍上証明できない可能性が、ほんの僅かでもある場合」とは、どのようなものか具体的に説明してみましょう。
具体例から考えてみる
明治19年式戸籍に以下のような記載があったとします。
戸主:岡本七左衛門
妻:よし
こちらの夫妻がみなさんの直系先祖にあたると考えてみてください。
妻:よしの欄には、以下のような記載があったとします。
「明治20年7月4日○○郡烏山村 中村太郎長女入籍」
こうした場合であれば、烏山村の中村太郎の戸籍を見れば、「長女:よし」という記載があるはずです。
「旧姓中村よし」及び、その父である「中村太郎」は、自分の直系の先祖にあたるので、中村家の戸籍を閲覧するのに問題はありません。
明治19年式戸籍作成以前に、除籍している場合
しかし、以下の場合ではどうでしょうか。
「明治18年7月4日○○郡烏山村 中村太郎長女入籍」
こうした場合だと、烏山村の中村太郎の戸籍を見ても、「長女:よし」という記載はありません。
なぜでしょうか?
「よし」は婚姻によって、明治19年式戸籍が作成される前に、中村家の戸籍から出ているからです。
「中村太郎の長女・よし」が自分の直系先祖であるというのであれば、当然「中村太郎」も直系先祖になります。
しかし、「中村太郎」の戸籍に「長女・よし」という記載がないのであれば、自分と中村太郎との関係を戸籍によって証明することにはならないと判断されてしまう場合があるのです。
もちろん、中村太郎は、まぎれもなく直系先祖にあたります。当然、戸籍の請求権があるはずです。
役所によって対応が異なる
こうした場合は、役所の戸籍担当者によって大きく対応が異なってきます。
すんなり、戸籍を出してくれる場合もあります。
あるいは、何かしらの質問してくる場合もあります。
例えば、中村太郎の妻の名前とか、中村家の古い番地とかを質問してくるのです。
それに答えられれば、戸籍の請求を受けいれるといった具合です。
そのようなことを質問することで、本当に子孫であるかどうかを探ってくるのです。
戸籍請求を早めにする理由
直系の先祖の戸籍であっても、このように出し渋るケースが増えております。
墓地の調査や先祖伝来の家系図によって、先祖と自分とのつながりが明らかであっても、戸籍請求を拒否されることもあります。
これは、不合理としか言いようがありません。
確かに、戸籍の保存期間延長で、当面は戸籍の廃棄はされなくなりました。
しかし、このような理由をつけて戸籍請求を受け付けないケースは、今後も増えてくるものと思われます。おそらく、益々ひどくなるでしょう。
こういったこともあるので、戸籍調査は早めにしておいたほうが良いと思います。
参照記事
戸籍請求にともなう役所の間違い