士族なのに、農民?
士族であるのに、農業を家業としているのを不思議に思われる方もいるでしょう。
江戸時代に城下町に住んでいた武士は、官吏や教員・軍人などになったと、俗に言われています。
あるいは、「士族の商法」という言葉があるように、慣れない商業に手を出して、失敗したというような話も有名です。
こちらの記事では、先祖が士族であるのに、明治維新後は農業をやっているというケースについて、触れていきたいと思います。
先祖は本当に武士だったのか?
Q、
私の先祖は、とある藩の藩士でした。
江戸時代には城下町に住んでいたのですが、明治維新後に農村に移ったといいます。
明治維新後には、「士族」となっていることが確認されております。
しかし、明治維新後の先祖は、普通の農家のようで、武家の出自を示すような、家系図や古文書のような先祖ゆかりのものは一切残っていません。
先祖が武士だったことを示すのは、「言い伝え」と「士族」と記された昔の戸籍ののみです。
本当に先祖は武士だったのかとさえ思っていますが、こうしたケースは多いのでしょうか?
武士から農民となった3つのケース
A、
江戸時代に武士であった家系で、明治維新後に農業を家業にしているケースはよくあります。
こうしたケースは、いくつかに分類できると思います。
・江戸時代以前から、武士であるものの、農業をしていた。
・江戸時代以前、郷士だった。
・明治維新後、農家になった。
この三つです。
それぞれ、よくあることです。
質問者様のご先祖のケースは三番目にあたります。
明治維新後に農村に移住するケースはよくありました。
武士は版籍奉還によって、職を奪われてしまったので、農業を始めたのでした。
自主的に移住した場合もあれば、藩の事業のようなもので移住した場合もあります。
こうした場合、城下町の武家屋敷から移住しているので、その際に、先祖伝来の古文書や家系図などを紛失してしまっていることも考えられますね。
そうした場合であっても、先祖が武士である、ということに特に不自然はありません。
昔は、現代のように多くの産業がないので、農業を始めるのが生計を立てる際に、一番初めに考えられたことなのです。