戸籍の人名の誤記に注意!
現在では、手書きで文章を書くことが少なくなりました。
みなさんも、手書きよりもパソコンを使って、文章を書く機会のほうが、多いのではないでしょうか?
パソコンで文章を書くのは便利ですが、問題点もあります。
「誤変換」が、その一つにあげられるでしょう。
誤変換は、パソコン特有の誤記の典型例です。
私も、しょっちゅう「誤変換」をしてしまいます。
しかし、パソコンのほうが手書きよりも、圧倒的に誤記は少ないです。
戸籍に見られる人名の誤記
この記事では、戸籍に見られる「誤記」について触れてみたいと思います。
戸籍の名前が、本当は間違っている事がある、という話は、よく知られています。
例をあげてみましょう。
西郷隆盛の弟で、海軍大臣を務めた、西郷従道という人がいます。
もともと、彼の正式な名前は、「西郷隆道」でした。
それが、明治初期の戸籍作成のときに、役場の人に名前を説明する際に「りゅうどう」と言ったのが、「じゅうどう」と聞こえてしまったらしく、「従道」と戸籍に登録されてしまったといいます。
こうした場合には、戸籍編製後は、「西郷従道」が正式な名前になります。
江戸時代の資料と、戸籍の表記が異なる
幕末の先祖と、明治初期の先祖をうまくつなぎ合わせるのは、結構難しいです。幕末の先祖を知るには、分限帳や宗門人別帳などの、江戸時代の資料にあたります。
そして、こうした資料に出てくる人名と、明治初期の戸籍に出てくる人名を、照合する作業をします。
その時に、明らかに同一人物だと思われるのに名前が異なっている、といったことは、よくあります。
こうした場合には、いろいろな原因が考えられるのですが、一つの原因として「戸籍作成の際に、誤って名前を登録された」というケースが、考えられるのです。
先ほどの「西郷従道」の例が、まさにコレです。
訂正されていない誤記は、家系調査に影響がでることも
通常、戸籍上の記載に誤記があった場合には、訂正印が押されて、書き直しされています。しかし、なかには誤記に気づかずに、訂正されないままになっているものもあります。
こうした場合、家系調査を進める上で、とても厄介なことになりかねないのです。
誤記が原因で、先祖の調査が難しくなるケース
例をあげて説明しましょう。
明治19年式戸籍に、「一番町、中村二郎長女入籍す」という記載があるとします。
「一番町77番地、中村二郎」といったように、番地まで記載されていれば良いのですが、明治19年式戸籍だと、番地まで書かれていないものも多いです。
この戸籍に書かれている「中村二郎」が誤記で、本当は「中村次郎」が正確なものであるといった場合を、考えてみましょう。
当然、中村二郎が誤記であるので、中村二郎という人の名前が出てくる戸籍は、存在しないわけです。
つまり、「中村二郎」の名で、戸籍請求しても、何も出てこないのです。
ご先祖を調べている場合には、厄介なことになります。
こうした場合には、「中村次郎」の名前で、戸籍を請求しなければなりません。
対処法は?
このような場合には、「字が間違っているかもしれない」と申し出れば、役所の人も調べてくれるでしょう。
役所の人は、コンピュータで名前を検索して調べるので、「中村次郎」と入力すれば、該当する戸籍が見つかるはずです。
しかし、「字が間違っているかもしれない」という情報を得られなければ、このような対応はしてくれないので、あらかじめ墓地の調査などをしておく必要があります。
同名の人がいると、さらに調査に影響が出る
また、困ったことになるのが、以下のようなケースです。
自分の先祖である「中村次郎」とは別に、同じ町に「中村二郎」がいた場合です。
そういった場合、同じ町に、「中村二郎」という方がいたら、役所の人は、そちらの戸籍を交付します。
墓地の調査などで、私の先祖は「中村次郎」が正確な表記だ、と認識していれば誤りに気づくかもしれませんが、そうでなければ、まったくの他人である「中村二郎」を、ご先祖さまだと誤解してしまうことになるのです!
紛らわしいですが、戸籍調査には、こういったことも起こりうることなので、よく理解されてください。