戸籍廃棄されていてもあきらめない!
家系を調べていて、「先祖の戸籍が廃棄されてしまった!」というのは、よくあることです。
現在、約15%の戸籍は、すでに廃棄されてしまったといいます。
それでは、以下のような状況を考えてみてください。
戸籍調査をしていて、先祖の本籍地のあった役場に大正4年式戸籍までしか残っていませんでした。
その場合、廃棄されてしまった前の戸籍(つまり明治19年式戸籍や明治31年式戸籍)を取得することは可能でしょうか?
これは、ナンセンスな質問だと思えるでしょう。
大正4年式戸籍までしか残っていないということは、明治19年式戸籍や明治31年式戸籍が存在していない事を意味するのですから。
戸籍が廃棄されているのは、どこか?
戸籍の廃棄については、市町村ごとに取り決めがなされています。
ある自治体では80年廃棄を実施していて、ある自治体では一切廃棄をしていないというように、市町村ごとに異なるのです。
つまり、「先祖の戸籍が廃棄されていて存在しない」といっても、それは“その役場には存在しない”ということを意味しているのに過ぎません。
この言葉を裏返すと、別の役場にはあるかもしれない、ということになります。
参照記事
戸籍謄本の保存期間は150年
先祖が転籍している可能性を考える
こちらの記事で紹介する「裏技」は、「転籍」がポイントになります。
先祖が転籍していた場合にのみ、「裏技」が使えるのです。さて、どういった裏技なのか、説明していきましょう。
具体例を示してみます。
祖父の家系を調査していたら、大正4年式戸籍までしか残っておらず、その前の戸籍は廃棄処分されていました。
戸主は祖父です。本籍地は、東京府四谷区にありました。
祖父の欄には、大正7年(1918年)に家督相続がおこなわれ、この戸籍が編製された旨が書かれています。
祖父の妻(つまり祖母)の欄には、明治33年(1900年)に兵庫県城崎郡豊岡町から嫁にきた旨が書かれています。
祖母が嫁に来たときに、祖父の本籍がどこにあったのかは不明です。
祖父の戸籍から分かることは、大正7年(1918年)に東京府四谷区に本籍があった、ということだけです。
戸籍廃棄前の記録が明らかになる!
こうした場合、祖母の系統の戸籍を取得してみましょう。
祖母の系統の戸籍が、もっと古いものまで保存されていた場合であれば、祖母が入籍した明治33年(1900年)に、祖父がどこに本籍があったのかが書いてあるはずです。
明治33年(1900年)時点での祖父の本籍地が、同じ東京府四谷区であれば、先ほど見たように、すでに戸籍は廃棄されています。
しかし、他の市町村に本籍が置かれていたのであれば、そちらに祖父の系統の戸籍が保存されている可能性があります!
つまり、廃棄処分された戸籍の本籍地(この例でいえば東京府四谷区)に、どこかから転籍していた場合には、このような「裏技」が有効になるということです。
請求漏れを防ぐには、専門家に見てもらう
ここまで、一読されて納得される方は、それほど多くいらっしゃらないと思います。
事実、かなり分かりづらいものなのです。
通常、「戸籍が廃棄されてしまった」と聞けば、そこで諦めてしまいがちですが、プロのテクニックによって、その前の戸籍請求が可能になる場合があるのです。
戸籍請求自体は、慣れてしまえばそれほど難しいことでもないですが、請求漏れを防ぐためには、一度専門家に見てもらうのが良いと思います。