明治時代の先祖の移動
昔の戸籍を見ていると、先祖が「転籍」をしていることがあります。
「転籍」とは、本籍地を移すことです。
なぜ、転籍が行われたのかというのは、いろいろな理由が考えられます。
明治時代に転籍している場合には、武士が版籍奉還によって食い扶持がなくなってしまったために、新天地に活路を見出したというのが一番多いです。
これについては別の記事で触れました。
明治初期に本籍を移動するケース
今回は、武士以外の転籍のケースについて触れてみましょう。
明治維新を境に町が衰退
江戸時代に栄えていた町が、明治時代になると一気に衰えてしまった例は多いです。
現在、県庁所在地になっている都市は、その多くが元々は城下町でした。
一つの県ごとに、いくつもの藩が存在したので、江戸時代は城下町であった町が、すべて県庁所在地になれたわけではありません。
県庁所在地に移行した城下町は、明治時代以降も県の政治・経済の中心地として栄えましたが、そうでない町は衰退しました。
もともと城下町であった場合には、明治時代に県庁所在地になれたのかどうかというのがポイントになってきます。
こうした場合、失業した武士が他の町に移ったのと同様に、武士を相手に商売をしていた職人や商人たちも他の町に移動するケースが多く見られました。
鉄道敷設による影響
また、鉄道敷設による影響も無視できません。
江戸時代には宿場(しゅくば)というのが各地にもうけられていて、宿場町として栄えていました。
宿場町には、たくさん人が集まり繁栄していました。
しかし、鉄道敷設によって、人の流れが一気に変わります。
これまで栄えていた宿場町に活気がなくなり、代わりに鉄道沿いの町が栄えるようになります。
こうした変化があれば、宿場町で生計を立てていた職人や商人たちの生活にも当然影響が出てきます。
明治時代のご先祖が転籍していたという場合は、このような外的な要因が考えられるのです。
ご先祖のことを調べるときには、こうした歴史的な理解も不可欠です。