先祖の記載が、墓石と戸籍で異なる場合
墓石の記載と、戸籍の記載が異なるといったようなことは、よくあることです。
こうした場合には、どちらの情報を信用すべきなのでしょうか。
具体的な例を示しながら説明したいと思います。
続柄の記載が異なる
Q、
私の高祖父の墓所には、一族の歴史を示した墓誌が彫られています。
墓誌は、高祖父の存命中に建てられたもののようです。
それによれば、高祖父は「三男」であり、家督を継いだとの記述があります。
しかし、明治19年式戸籍を見ると、「長男」と書かれているのです
どちらが正確なものなのでしょうか?
墓石の記載を信用すべき
A、
高祖父様が存命な頃に、建てられた墓誌であれば、ご本人がチェックされているはずです。
したがって、高祖父様の経歴について、誤りはないものと判断するのが妥当だと考えます。
ご自身で墓誌の記載に、かかわっているので、「三男」ということで間違いないでしょう。
昔は、上に兄がいても幼くして没すると、順番が繰り上がることがありました。
したがって、戸籍の記載については「事実上の長男」ということなのだと思います。
お子様のうち、成人した男子は、高祖父様だけなのでしょう。
本当の高祖母はどっち?
Q、
私の高祖母は、戸籍によれば、「○○村、田中五郎平長女」とあります。
しかし、墓誌には、「○○村、佐藤太郎兵衛四女」とあるのです。
さらに、墓誌を読むと、「16歳で嫁いで、子を産んだこと」・「明治10年まで存命だったこと」が分かっています。
一方、戸籍を見ると、明治2年生まれの曽祖父を戸主とする戸籍に、「母」の欄に別の名前が書きこまれ、「明治18年、○○村・田中五郎平長女入籍ス」とあります。
どちらの記載が正確なものなのでしょうか?
情報を整理して総合的に考える
A、
仮に戸籍の記載を事実だとすれば、曽祖父様が明治2年生まれですから、結婚する16年前に、曽祖父様がお生まれになったことになってしまいます。
これは明らかに不自然だと考えられます。
戸籍上は曽祖父様の「母」と書かれているようですが、正確には「継母」なのだと思います。
当時の戸籍では、「継母」を単に「母」と記しているものは多いです。
つまり、高祖母様が明治10年まで存命で、その後、明治18年(1882年)に、後妻の方が嫁がれてきたということになると思います。
したがって、墓石の記載のほうを信用すべきであると考えます。
家系図作成では、戸籍を信用しすぎない
このように、家系図を作成するという場合には、単に戸籍の記載だけを信用するというのでは、正確なものはできないこともあるのです。
戸籍は、先祖のことを知る上で最も信頼のおける資料ですが、あやまりを含んでいることもあることも想定して、総合的な判断を心がけるようにしたいものです。