珍姓と、先祖の身分
私たちが名乗っている苗字は、先祖から受け継いだものです。
とくに珍しい苗字の方だと、自分の先祖について関心をお持ちの方が多いと思います。
珍しい苗字の人は、先祖の身分が高かったというようなことを言う人もいますが、実際のところどうなのでしょうか?
武士の苗字は珍しい?
〈武士の子孫は、珍しい苗字を名乗っていて、農民の子孫はありふれた苗字です。
「田」という文字が苗字に入る人は、先祖が田んぼの中に住む農民だったので、苗字に「田」と入れました。〉
このようなことは、たまに目にしますが、これは事実ではありません。
確かに、武士の苗字というのは珍しいものもあります。
足利・上杉・北条・豊臣・徳川・島津など、ありふれた苗字ではありませんね。
また、武士ではありませんが、公家の苗字も珍しいものが多いです。
近衛・鷹司・醍醐・正親町・西園寺・東園・坊城などは、あまりいない苗字です。
苗字で先祖の身分は分からない
しかし、武士は珍しい苗字で、農民はありふれた苗字だったというのは、正確な指摘ではないのです。
苗字と、先祖の身分については、特に関連性がないのです。
つまり、武士だからといって、珍しい苗字を名乗っているわけでもありません。
また、農民だからといって「田」のつく苗字を名乗っているわけではありません。
また、逆に言うと、珍しい苗字だからといって武士の子孫だったわけではなく、「田」のつく苗字だから農民の子孫だったというわけでもないのです。
苗字から、先祖の職業が分かるのではないかと、考える方は多いですが、「こういう苗字は武士の子孫で、こういう苗字は農民の子孫」というように、判断することは、ほぼ不可能なのです。
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