戸籍正本と戸籍副本について
家系図を作成している方にとって、先祖の本籍地の役所に戸籍が残っているかどうかというのは、とても重大な問題です。
戸籍には、保存年限がもうけられているので、すでに廃棄されてしまっているものもあります。
「80年廃棄」といって、戸籍内の全員が除籍になってから80年経過したものは、廃棄することになっていました。
現在では保存年限が150年に延長しましたが、これまでに多くの戸籍が廃棄されてきました。
最悪の場合、昭和初期の先祖の戸籍までしか閲覧できません。
このような廃棄処分以外にも、戦災などで消失してしまったケースもあります。
法務局には戸籍の「副本」がある
実は、戸籍には「正本」と「副本」があります。
「正本」は役所に保管されている戸籍です。普段、役所に請求して閲覧する戸籍は、「正本」です。
戸籍はとても重要な文書ですので、消失に備えて「副本」が作成されています。
「副本」は管轄のある法務局に保管されています。
災害などで、役所にある戸籍が消失してしまったという場合には、法務局にある「副本」をもとにして戸籍を再製します。
実際に、災害で戸籍を「副本」をもとにして再製したケースは多くありました。
しかし、空襲などで広範囲において被害が出てしまった場合には、役所にある「正本」と法務局にある「副本」の両方が損なわれてしまっている場合もあります。
こうした場合には、戸籍の復元が難しくなってしまいます。
戸籍の「副本」の閲覧はできるのか?
法務局に戸籍の「副本」があるのであれば、これを家系調査に役立てられないものだろうか、と考える方は多いはずです。
例えば、戸籍の「80年廃棄」がされている場合や、災害などで戸籍が失われている場合に、法務局の「副本」を閲覧できないものでしょうか?
結論から言えば、「80年廃棄」がされている場合であれば、法務局に「副本」が保存されていたとしても、閲覧できません。
「80年廃棄」ではない理由によって、戸籍が無いといった場合であれば、「副本」の閲覧ができる可能性は僅かながらあります。
しかし、そもそも災害などで戸籍が消失してしまっている場合であれば、すでに役所の戸籍が再製されているはずですので、戸籍の「副本」を閲覧する必要性はないでしょう。
戸籍の現物はあるけど、出さない!
役所によっておこなわれる戸籍の廃棄は、実際に戸籍を棄却していない場合もあります。
手続き上、「廃棄」という処分にするというものです。
つまり「戸籍の現物はあるけど、出さない」ということです。
家系図を作成している方からしたら、なんとも歯がゆい思いになるでしょう。
これと同じように法務局の「副本」も現物が存在していても、閲覧させてもらえないのです。
ただ、こうしたものが残っていること自体は、悪いニュースではありません。
今後、こうしたものが閲覧できるようになる日が来るかも知れません。
そうなる日を、楽しみに待つしかないですね。