武士の子孫であることは自慢話か?
日本人は武士が大好きです。
大河ドラマでは、戦国時代が舞台となることが多く、登場人物の多くは武士です。
また、スポーツの国際大会などで、日本人選手が活躍すると「サムライジャパン」といったキャッチフレーズが、マスコミで用いられることが多いです。
あるいは「武士道」なんて言葉も使われることもあります。
武士は日本の象徴?
まるで、「武士」とか「侍」といった言葉が、日本の象徴であるかのような扱いを受けることがあるわけです。
しかし、「寿司」や「着物」や「富士山」と同じように、「武士」・「侍」といった言葉が、日本の象徴として扱われるのには、違和感を持つひとも多いと思います。
「ウチの先祖は農民だったので、武士に対しては何の親近感も湧かない」といった意見があります。
確かにそうですね。
江戸時代、武士が支配階級として農民を虐げていた、という構図は時代劇などでも、よく描かれています。
先祖が農民だった、と分かっている場合には、武士に対して良い感情を持っていないのも理解できます。
先祖が武士であることは自慢?
その一方で、自分の先祖が武士であることを誇りに思っていたり、自慢する人もいます。
「ウチの先祖は武士だぞ。偉いんだぞ。」というわけです。
また、家系図を作成している方、先祖調査をしている方には、先祖が武士だったかどうかを気にする人が多くいます。
結局、「自分の先祖が、武士であれば自慢できるぞ」ということなのです。
先祖が武士であれば、農民に比べて比較的多くの記録が残っているので、先祖の情報が集まりやすいという点では、武士の子孫であることは恵まれているのだと思います。
先祖が武士である割合は?
江戸時代における武士の割合は約7%と言われています。
江戸時代は身分が固定化されていたので、幕末の先祖が武士でなければ、江戸時代初期の先祖も武士ではないと考えられます。(もちろん100%というわけではありません)
また、武士と庶民とのあいだに通婚は、ほとんどなかったので、代々の先祖の母方を辿ってみても武士の家系につらなるものは一人もいないと考えられます。
武士の子孫であり、農民の子孫でもある
しかし、もっと時代を遡ると、多くの日本人は武士の子孫であるというのは、紛れもない事実だということに気づきます。
戦国時代以前は、武士と農民とのあいだの区別は曖昧でした。
平時は農民として暮らしながらも、戦(いくさ)が始まると出陣しなければならないといった暮らしをしていたものが多くいました。
こうした場合であれば「武士でもあり、農民でもある」といえるわけです。
つまり、日本人の多くが、農民の子孫であることは事実ですが、同時に武士の子孫でもあるということが言えるでしょう。
そう考えると、別に先祖が武士だったからといって自慢したりするのは、あまり意味がないのかもしれません。