農民の家系を調べる方法
江戸時代以前の先祖を調べるには、武士と農民では調べ方が異なります。
江戸時代の約80%以上は、農民でした。
割合から考えると、自分の先祖は農民だった可能性が最も高いと考えられます。
したがって、はっきりと“先祖が武士だった”という確証がないのであれば、まずは農民だったのではないか、と思って調査にとりかかるべきです。
「農民」といっても実に多様
「農民」と一口に言っても、実にいろいろな人がいました。
何十町もの土地を保有する大地主もいれば、水呑百姓もいます。
農業のかたわら、味噌・醤油などの醸造業を営んだり、職人のような仕事をしていたものもいます。
「農民」といっても、農業だけを職業にしていたわけではないのです。
参照記事
江戸時代の農民という身分
農民の先祖調査の流れ
では、農民の先祖調査の流れを説明していきます。
①家族・親戚への聞き取り調査
↓
②戸籍調査
↓
③郷土史の調査
↓
④同姓分布の調査
↓
⑤旧土地台帳の調査
↓
⑥遠縁・親戚候補への聞き取り調査
↓
⑦本家宅への訪問調査
↓
⑧墓地調査
↓
⑨宗門人別改帳の調査
↓
⑩検地帳の調査
↓
⑪村絵図の調査
↓
⑫神社の調査
↓
⑬過去帳の調査
このように進めていきます。
では、順番に個々の調査を説明してまいりましょう。
家族・親戚への聞き取り調査
まずは、身近な人に先祖のことを尋ねましょう。
聞き出したいのは主に以下の事柄です。
・先祖の居住地
・いつからその場所に住んでいたか
・先祖の土地保有面積
・先祖の副業など
すでに、身近な親戚からの情報を集めたという方は、この作業はやる必要はありません。
しかし、上記の四点については意識しておきましょう。
戸籍調査
戸籍調査については、絶対にやっておきましょう。
この調査によって、幕末における先祖の居住地が確定します。
あるいは、どこかから移動してその土地にやってきた、という事実も明らかになるかもしれません。
古い戸籍が廃棄されてしまっている場合には、調査が困難になります。
しかし、戸籍に書かれている最も古い本籍地に、手がかりがあるはずです。
郷土史の調査
次に、郷土史を調べてみましょう。
戸籍に書かれている古い本籍地の情報を集めます。
とりあえず「○○市史」・「○○町史」といったようなタイトルの本を、読んでみます。
といっても、こうした本が近くの図書館にない場合もあります。
そういった場合であれば、この調査は後回しにしましょう。
同姓分布の調査
次に同姓分布を調べましょう。
自分の先祖と同じ苗字の人が、どこにどれだけいるのかを調べるのです。
戸籍で明らかになった、最古の本籍地付近の電話帳で、同じ苗字を調べます。
理想は、電話帳に戸籍に出ている人物が出ていることです。
親戚宅を特定したことになりますので、その後の調査がスムーズにいきます。
あらかじめ、本家がどこにあるのか分かっている場合には、この調査は省略しても構いません。
旧土地台帳の調査
旧土地台帳の調査については、先祖の暮らしぶりを明らかにするために行います。
郵送で済ませられるのであれば、この段階でやっておきましょう。現地の法務局に出向く必要があるのであれば、後回しです。
遠縁・親戚候補への聞き取り調査
同姓分布の調査で明らかになった親戚宅に連絡をとって、先祖の情報を得ます。
本家が分かっている場合は、本家に連絡をとりましょう。
本家宅への訪問調査
ここからが現地調査です。
本家宅と普段から付き合いがあれば、スムーズにいきますが、そうでなければ、ややハードルが高い調査になるかもしれません。協力を得られないこともあります。
墓地調査
本家の協力が得られていれば、墓地を紹介してくれるでしょう。
しかし、「本家がどこにあるかわからない」「墓地がどこにあるか分からない」といった場合には、墓地を特定する作業をおこなわなくてはなりません。
墓地を特定する作業については、以下の記事を参考にされてください。
先祖の墓地の場所を探す方法
その他の調査
⑨宗門人別帳の調査・⑩検地帳の調査・⑪村絵図の調査については、一応このように順序立てましたが、すぐにアクセスできるものから順番に見ていくことになると思います。
これらの資料がまったく残っていない、ということも充分考えられます。
⑫神社の調査については、石碑のように見て回れるものであれば、チェックしておきたいものです。
⑬過去帳の調査については、現在は寺院の許可を得られないことも多いのですが、一応あげておきました。
個別の調査については各記事を参照されてください。
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家系図作成・調査20の方法