商人、職人の家系を調べる方法
商人、職人の先祖を調べる方法について、まとめてみたいと思います。
商人、職人とひとくくりにしているのには理由があります。
江戸時代は、「町」と「村」というのは、その支配構造からして、まったくの別物でした。
現在のように「村」の大きいものが「町」なのではありません。
「町」に住む庶民は、商人や職人によって構成されていました。
したがって、町に住む人=町人は、商人・職人であるといえます。
しかし、その一方で「村」に住む商人や職人もいました。
そうした人たちは、「町人」ではありません。「百姓」です。
参照記事
江戸時代の町人という身分
江戸時代の農民という身分
先祖が住んでいた場所を知る
したがって、商人・職人だった先祖を調べるには、「町」に住む「町人」だったのか、「村」に住む「百姓」だったのかを、まずはっきりさせましょう。
先祖が「町」に住んでいたのか、「村」に住んでいたのかを調べるには、戸籍を取り寄せてみて、そこに書かれている先祖の最も古い本籍地が、江戸時代にどういった土地であったのかを調べれば分かります。
しかし、先祖が「町」に住んでいても、「村」に住んでいても、それほど先祖調査の手順が変わるわけではありません。
先祖調査の流れ
それでは、商人・職人の先祖調査の流れを説明していきましょう。
①家族・親戚への聞き取り調査
↓
②戸籍調査
↓
③郷土史の調査
↓
④同姓分布の調査
↓
⑤旧土地台帳の閲覧
↓
⑥遠縁・親戚候補への聞き取り調査
↓
⑦本家宅への訪問調査
↓
⑧墓地調査
↓
⑨宗門人別改帳の調査
↓
⑩城下町の地図調査
↓
⑪神社の調査
↓
⑫過去帳の調査
このような具合になります。
基本的な作業は、「農民」の先祖を調べる場合と、ほとんど変わりません。
では、順番に個々の調査を説明してまいります。
家族・親戚への聞き取り調査
まずは、身近な人に先祖のことを尋ねましょう。
聞き出したいのは主に以下の事柄です。
・先祖の居住地
・いつからその場所に住んでいたか
・家業のこと
すでに、身近な親戚からの情報を集めたという方は、この作業はやる必要はありません。
戸籍調査
この調査によって、幕末における先祖の居住地が明らかになります。
先祖が「町」に住んでいた場合、古い戸籍を廃棄されてしまっているケースもあります。
都市部の戸籍廃棄は、農村部よりも積極的におこなわれているからです。
古い戸籍が廃棄されてしまっている場合には、調査が難しくなってしまいます。
郷土史の調査
郷土史の調査では、戸籍に書かれている古い本籍地のことを調べます。
先祖がどういった土地に住んでいたのかを知るわけです。
とりあえず「○○市史」・「○○町史」といったようなタイトルの本を読んでみましょう。
同姓分布の調査
次に同姓分布を調べます。
この調査は、自分の先祖と同じ苗字の人が、どこにどれだけいるのかを調べるものです。
戸籍で明らかになった、最古の本籍地付近の電話帳で、同じ苗字を調べるのです。
この調査によって、親戚宅をしぼりこみます。
また、あらかじめ、本家がどこにあるのかを分かっている場合には、この調査は省略しても構いません。
旧土地台帳の調査
旧土地台帳の調査は、先祖の暮らしぶりを明らかにするために行うものです。
旧土地台帳の調査は、郵送で可能なことが多いです。
郵送で済ませられるのであれば、早めに済ませておきましょう。
現地の法務局に出向く必要があるのであれば、後回しです。
遠縁・親戚候補への聞き取り調査
同姓分布の調査で明らかになった親戚宅に連絡をとり、情報収集に努めます。
本家が分かっている場合には、本家に連絡をとって調査協力を依頼します。
本家宅への訪問調査
ここから、現地調査となります。
本家宅と普段から付き合いがあれば、スムーズにいきますが、そうでなければ、ややハードルが高い調査です。
また、商家の場合には、本家宅が先祖の本籍地に存在しないことも多いです。
本家宅がどこにあるのかを調べるのに、苦労することも考えられます。
墓地調査
本家の協力が得られれば、墓地を紹介してもらいます。
しかし、「本家がどこにあるかわからない」「墓地がどこにあるか分からない」といった場合には、墓地を特定しなければなりません。
墓地を特定する作業については、以下の記事を参考にしてください。
リンク
その他の調査
⑨宗門人別改帳の調査・⑩城下町の地図調査・⑪神社の調査については、一応このように順序立てましたが、すぐにアクセスできるものから順番に見ていって構いません。
⑩城下町の地図調査は、成果が得られないかもしれませんが、一応書いておきました。
この調査によって、先祖の名前や居住地が明らかになる可能性があります。
基本的に、城下町の地図調査は「武士の家系」でないと通用しないものです。
⑫過去帳の調査については、現在では無理な調査かもしれませんが、一応あげておきました。
各個別の調査については各記事を参照してください。