戦前の専業主婦と、その歴史

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condesign / Pixabay

“昔”の専業主婦について

現在では、共働き(共稼ぎ)の家庭が一般的ですが、以前は、夫が働き、妻が家政を取り仕切るという家庭が多かったものです。
パートなどで外に働きに出ない「妻」を、専業主婦と言いますね。

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「専業主婦」は、新しい概念

専業主婦というのは、歴史的にみると、実はとても新しい概念です。
江戸時代においては、女性が家事以外の労働をするのは当たり前でした。
お父さん、お母さん、子どもと、家族全員が働いていたのです。

例えば、農業をやっている家庭があるとします。
お父さんが主力となるのですが、お母さんもお子さんも重要な労働力となります。
家族総出で働くわけですね。

江戸時代において「専業主婦」と呼べるような方は、武士の妻くらいのものです。
もちろん、武士でも、農業や内職をやっていたケースも多いので、そういった場合には、「専業主婦」ではないですが。

明治時代・大正時代になっても変わらず

明治時代、大正時代になってもこうした状況は変わりません。
戦後になって、やっと「子どもを学校に行かせる」というのが一般的になったので、こうした家庭は減りましたが、「家族総出で働く」というのが歴史的には一般的に見られるものなのです。

大正時代になって、「専業主婦」が出現

「専業主婦」が誕生したのは、大正時代と言われています。
大正時代には農業から工業へと産業転換がありました。
その過程において、「サラリーマン」という新しい生き方をする人たちが出てきたのです。
サラリーマンとは、都市部に住み、スーツを着て、会社に通勤し、お給料をもらう人たちです。
サラリーマンの妻、となったのが「専業主婦」なのです。
当時のサラリーマンは、珍しい職業でした。

したがって、サラリーマンの妻である「専業主婦」も珍しい存在だったのです。
多くの女性は、江戸時代を生きた女性のように、働きながら、家事・育児をおこなったのです。
「専業主婦」が一般的になるのは、戦後の高度経済成長期からです。

先祖を調べるには「生活史」を学ぼう!

こうした歴史的理解は、先祖のことを調べる上で、とても大切です。
なんとなく、「昔は専業主婦が多かった」などと、明治・大正・昭和を“昔”とひとくくりにしてしまいがちですが、細かく見ると、全然違うのです。
このような「生活史」とでも言うべきものを学んでいくと、先祖の暮らしぶりがよく分かると思います。

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