番屋敷・番戸の意味
「番屋敷(ばんやしき)」という言葉は、現在では全く使われておりません。
しかし、家系図を作成するために、古い戸籍を請求したら、このような記載を目にして、疑問に思う方は多いでしょう。
戸籍をお持ちの方は、よくご覧になってみてください。
「壱番屋敷」・「弐番屋敷」というような記載が出てくるはずです。
また、地域によっては、「壱番戸」・「弐番戸」という書き方になっているところもあります。
番屋敷と番地の違い
「番屋敷」、「番戸」とは、当時の本籍地を示したものです。
その後、本籍地の記載は、「番地」で統一されて、現在にいたります。
番屋敷(あるいは番戸)と、番地は似ているようで、大きく異なるものです。
番屋敷(番戸)は、家屋に割り振られた番号であるのに対し、番地は土地に割り振られた番号です。
番屋敷と番地は対応していない
戸籍をすべて持っていれば、「番屋敷」と「番地」がそれぞれどのように対応しているのかが分かります。
例えば、明治19年式戸籍の本籍地の欄には「5番屋敷」と書かれていたが、大正4年式戸籍の本籍地の欄には「63番地」という記載があった、というような場合には、「5番屋敷」と「63番地」が同じ場所を示していることが分かります。
しかし、「21番屋敷」といったような記載だけしか見られなかった場合には、それが、その後どのような番地になったのか、まったく分からないのです。
家系図作成で問題になる場合
家系図作成において、このようなことが問題となってくるのは、転籍しているケースです。
戸籍に「○○村33番屋敷より転籍」といったような記載があったときには、その番屋敷が、その後どのような番地になっているのかが、分からないのです。
転籍前の場所が、(この場合、○○村33番屋敷)幕末の時点におけるご先祖の住所であれば、先祖を調べる上で、非常に重要な情報になってきます。
幕末時点に、ご先祖がどこに住んでいたのかが分かれば、江戸時代の先祖がどのような職業をしていたのかが、ある程度分かるからです。
では、どうすれば、番屋敷から番地を割り出すことができるのでしょうか?
旧土地台帳から先祖を調べる方法
それは、旧土地台帳を利用することです。
旧土地台帳を見れば、明治20年頃からの、土地の所有者を調べられます。
問題となるのは、「所有者」に限られる点です。
旧土地台帳は、課税用に作成されたものですので、所有者の情報しか出てきません。
借家住まいであった場合には、情報が出てこないのです。
この旧土地台帳を片端から調べていき、所有者の名前のなかに、先祖の名前があるかどうかをチェックするのです。
旧土地台帳は、番地形式で土地が表記されているので、もしご先祖の名前が見られれば、戸籍に記載されている「番屋敷」と旧土地台帳に記載されている「番地」と対応していることが、分かるということになります。
参照記事
旧土地台帳の調査
先祖の名前が旧土地台帳に出ていないときは…
他には、地元の郷土資料で、番屋敷と番戸がどのように対応しているのかを、まとめている場合もあります。
こういったものがあれば、先祖が旧土地台帳に記されていない場合でも、特定できます。
しかし、このような資料は、どこにでも作成されているようなものではないのがネックです。