苗字帯刀を正確に理解しよう
江戸時代に苗字帯刀(みょうじたいとう)が、武士などの特権階級にのみ許可された、というのは有名な話です。
豊臣秀吉によって行なわれた「刀狩(かたながり)」を受け継いだ形で、江戸幕府も「帯刀」を制限しました。
武士には無条件で苗字帯刀の許可がおりましたが、庶民は一部の例外を除いて禁じられていました。
武士以外のものが「苗字帯刀」を許可された場合については、誤解が生じやすいです。
そうした場合、「苗字帯刀」の許可を受けたことで、武士身分であったと誤解してしまうことがあります。
苗字については、別の記事で扱ったので、こちらの記事では、江戸時代の「帯刀」に関するQ&Aをまとめました。
参照記事
江戸時代に庶民は苗字を名乗れたのか?
帯刀が認められれば武士なのか?
Q、
私の先祖は、江戸時代に帯刀を許されていたといいます。
ということは、武士だったということなのでしょうか?
A、
先祖が苗字帯刀を許されていたことと、先祖が武士であったことは、必ずしも一致しません。
武士であれば、必ず苗字帯刀を許されています。
しかし、武士でなくても、苗字帯刀を許されていた人もいました。
具体的には、庄屋・名主などの豪農や豪商といった人たちです。
彼らは、苗字帯刀を許されていても、身分が変わるわけではありません。
農民は農民、町人は町人であり、武士ではありません。
刀の所持は武士の特権か?
Q、
江戸時代、刀の所持は武士と、帯刀許可を得た一部の人たちに限られていたといいます。
それでは、先祖伝来の刀が所蔵してある場合には、もともと先祖がそうした身分にあったと言えるのでしょうか?
A、
そうではありません。
「帯刀」が意味するのは、太刀を携帯することを指します。
刀を所持している分なら問題ありません。
例えば、刀工ならば、家にたくさん刀があるはずです。
脇差携帯なら問題なし
Q、
時代劇などを見ると、庶民でも脇差を持っている場合がありますよね。
彼らは「帯刀」を許可されたのでしょうか?
A、
脇差の携帯は、庶民にも認められました。
先ほども書きましたが、「帯刀」が意味するのは、「太刀を携帯すること」です。
脇差のような小刀は、太刀ではないので、問題ないのです。