系統と血統
家系図作成や家系調査において、「系統」や「血統」といった言葉が用いられることがあります。
「系統」と「血統」。どちらも似たような言葉です。
実際、同じように用いられることもあるのですが、私は厳密に分けて理解しています。
系統と血統の違い
簡潔に示すと、「系統」は、家系上のつながりを示すのに対し、「血統」は、血縁上のつながりを示しているといえます。
例えば、まったく血縁上、関係ない人を養子にした場合、養父と養子とのあいだの関係は、「系統」はつながっているけど、「血統」はつながっていない、といえます。
言い換えると、「家系」はつながっているけど、「血」はつながっていないということです。
家系図作成では「系統」を調べる
通常、家系図を作成する場合には、「系統」を追います。
我が家に養子に来た先祖を調べるときに、「養父・養母」と「実父・実母」がいる場合には、「養父・養母」の家系を調べるものです。
家系図作成は「家」の先祖を調べるもの
というのは、家系図を作成する目的は、「○○家」という家の代々のつながりを明らかにするものだからです。
多くの場合、家の先祖とされる人物とは、血がつながっているものですが、そうでない場合もたまにあります。
しかし、「○○家の先祖」といったときには、血がつながっていなくとも、その人物は先祖にあたります。
こうした考え方は、現代人には馴染みがないかも知れませんが、「家」というのは、そういうものだったのです。
したがって、家系図を作成する場合には、「○○家の先祖」を調べていくことになります。
血縁上の先祖を調べるほうが難しい
それよりも血縁上のつながりを調べたいという方も多いでしょうが、通常このようなことは、おこなわれません。
その理由は、「系統」をたどるのに比べて、「血統」をたどるのは難しいからです。
戸籍制度が整った明治以降であれば、血統をたどることはできます。しかし、江戸時代以前になると、難しい場合が多いです。
昔の家系図では、実子も養子も区別されて記載されていないことも多いです。母親の記載がないことも多いです。
このような難点があるので、家系図作成では、系統を調べていくことになるのです。
参照記事
古い家系図の問題点