江戸時代の庶民の印鑑について

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foturo / Pixabay

江戸時代の古文書から先祖の印影を探る

ご先祖の調査で、古文書を見ていると、印鑑が押されているものが、あるのに気付きます。
古文書に残されている印影の多くは、「黒印(こくいん)」というものです。
朱肉の代わりに、墨を使っているので、印影も黒くなります。

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江戸時代の印鑑事情

現在は、100円ショップなどでも見かける朱肉ですが、昔は高価なものだったようです。
そういった事情もあってか、江戸時代には、朱肉を使えるのは武士などの特権階級だけでした。

農民や町人などの庶民も印鑑を持っていましたが、朱肉の使用を禁じられていました。
庶民が朱印を認められるようになったのは、明治以降のことです。
こんなところにも、身分制度が見られたのですね。

江戸時代にも印鑑登録制度があった!

現在でも「印鑑登録」というのが、ありますね。
自治体に、自分の実印を登録する制度です。

実は、江戸時代にも印鑑登録制度があったのです。
たまに、庄屋(名主)が、村の本百姓たちの印鑑を届け出ていた文書が残っていることもあります。

当時の庶民は、ハンコ屋さんに印鑑を作ってもらうのではなく、自分で作ってしまった人も多かったようです。
私も小さい頃、消しゴムや、さつまいもを削ってハンコを作ったことがありましたが、本格的な篆刻(てんこく)となると、なかなか難しそうです。

家系調査に役立てる方法はあるのか

印鑑は代々後継ぎへと、継承されていきました。
現在でも、古い家には先祖が使用した印鑑が残っているかもしれません。
印鑑が代々受け継がれていたのだとすれば、これを利用して、先祖の調査に何か役立てそうな気がしますね。
さて、どのような利用方法があるのでしょうか?

印影の照合から、ご先祖を調べる方法

印影の分析は、検地帳や宗門人別帳を見るときに役立ちます。

例えば、江戸時代中期の宗門人別帳に出ている人物と、江戸時代後期の宗門人別帳に出ている人物との関係を、調べたい場合を考えてみましょう。
これらの古文書には、苗字が書かれていません。
したがって、どれがご先祖なのか、古文書を見ただけでは分かりません。

そこで、印影の照合をおこなうのです。
時代の異なる古文書であっても、印影が同じであれば、同じ家の人だと判断できますね。
これを利用して、ご先祖を特定できるのです。

もちろん、印鑑の調査だけで、先祖を調べることはできませんが、他の調査と合わせて利用することで、成果を得やすくなるのではないでしょうか。

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