宗門人別改帳の調査
難易度/ ☆☆☆☆☆
有効性/ ☆☆☆☆☆
費用/ ☆☆☆☆
所要時間/ ☆☆☆☆☆
必要なもの/ 筆記用具・カメラ
※調査の前にやっておくべきこと
家族・親戚への聞き取り調査
戸籍調査
先祖の墓地調査
宗門人別改帳(しゅうもんにんべつあらためちょう)というものがあります。
宗門改帳・宗門人別帳・宗旨人別帳などとも言います。
家系調査には欠かせない、宗門人別改帳
江戸幕府は、キリスト教禁教のために、民衆にどのような宗教を信仰しているのかを監視するようになりました。
宗門人別改帳は、民衆がどの寺の檀家になっているのかを把握するために、作られたものです。
また、宗門人別改帳は、現代の戸籍のような意味合いを持ち、家族構成が書かれているので、家系図作成には、とても役に立つものです。
宗門人別改帳調査のメリット、デメリット
宗門人別改帳調査のメリット、デメリットについて見ていきましょう。
メリット
・農民、職人、商人といった庶民層の、江戸時代のご先祖が分かる
・家族構成、年齢、所有地、家畜数など、詳細なことが分かる
・定期的に作成されたので、細かい家族の変化を追える
デメリット
・そもそも資料を探し出すのが困難なこと
・資料が見つかっても閲覧拒否されることがあること
・苗字の記載がないので、どれが先祖のものか特定しにくい
・くずし字を読まなくてはならないこと
このように、まとめられるでしょう。
分限帳や、藩士の家系図などは、武士の家系調査以外では役に立ちません。
しかし、宗門人別改帳は、農民や職人、商人といった庶民層の家系調査に大いに役立つものです。
宗門人別改帳を探すのは大変!
もしも、先祖代々の宗門人別改帳を閲覧できれば、江戸初期から明治初期に至るまでの、家族の移り変わりが明らかになるはずです。
しかし、難点なのは、この資料がなかなか残っていないことです。
また、どこかに保管されているにしても、それを探すのは容易ではありません。
宗門人別改帳の閲覧は、拒否されることも…
まずは、活字化されているものを探すことになります。
とはいっても、活字化されている場合は、かなり珍しいです。
活字化されているものがなければ、現地の図書館や教育委員会などをあたることになります。
あるいは、行政機関ではなく、個人宅に所蔵されている場合もあります。
うまく、宗門人別改帳が見つかっても、また別の問題も生じてきます。
個人蔵の古文書であれば、所有者から閲覧の許可を得なければなりません。
面倒くさがられて、断られることもあります。
また、行政機関が所蔵していても、別の理由から断られることもあります。
「個人情報保護」というのが、その理由です。
こちらの資料は、江戸時代のものですので、個人情報も何もないと思われるでしょうが、実際にこうした措置をとるところもあります。
具体的な調査方法
宗門人別改帳の具体的な見方について説明します。
以下のように記載されております。
高壱石九升九合
一同寺
百姓 定五郎 戌38才
妻 しげ 同36才
倅 亀五郎 同15才
娘 きん 同11才
同 つる 同9才
倅 平吉 同6才〆6人内男3人女3人
このように書かれています。
年齢の記載があるので、資料の作成年から逆算して、生年まで分かるのです。
墓地調査や戸籍調査によって、明らかになった先祖の名前が、この中にあれば、どれが先祖の家を記したものなのか特定できるのです。
苗字が書かれていないので、他の調査をもとに、総合的に判断することになります。
宗門人別改帳の調査は、家系図作成で非常に有効性を持つものであるのは、疑いようの無い事実です。
しかし、資料の探索と読み取りは、容易ではありません。
極めて専門性の高い調査だと言えます。