壬申戸籍は閲覧禁止
「壬申戸籍(じんしんこせき)」というものがあります。
明治5年式戸籍とも言いまして、近代日本において初めて作られた戸籍です。
しかし、壬申戸籍は、現在閲覧することができません。
以前は、閲覧できるものだったのですが、人権上の問題があるということで、閲覧不可となってしまったのです。
ちなみに現在、閲覧できる最古の戸籍は明治19年式戸籍というものです。
壬申戸籍の身分記載について
私は、壬申戸籍を見たことがありますし、保有もしております。
くずし字で書かれており、戸籍謄本というよりも古文書といったイメージに近いものです。
壬申戸籍の特徴としては、氏神や菩提寺の記載があることと、職業が細分化されて記載されていることの二点があげられます。
それ以外の点については、明治19年式戸籍と大して変わりません。
「士族」とか「平民農」といったような身分記載があり、こうした記載を、人権上の問題として考える人もいらっしゃいます。
確かに身分記載というのは、階級制度を認めることですから、現代の社会通念上、好ましいことではありません。
閲覧禁止という措置は、仕方のないことのように思えます。
家系図作成には重要な資料となるが…
しかし、先祖の職業を知ることができるので、壬申戸籍は、家系を調べる上で重要な資料となるのは、間違いないことです。
もし、これを閲覧できれば、もう一代前のご先祖の情報や、江戸時代の職業などについての情報が得られるでしょう。
家系図を作成していらっしゃる人たちにとっては、是非とも見てみたい資料だと思います。
壬申戸籍は都市伝説に
壬申戸籍にまつわる噂は、いろいろとあります。ネットで検索すれば、いろいろと出てきます。
しかし、私が壬申戸籍を見た者として証言いたしますのは、それらの多くは誤解だということです。
「士族」・「平民」といった記載は、身分制度に基づくものですので、こうした記載を好ましくないと思う方がいるのは当然です。
実際に、明治19年式戸籍や、明治31年式戸籍、大正4年式戸籍における身分記載は、塗抹作業が施され、現在見ることはできません。
しかし、壬申戸籍については、閲覧禁止となってしまったために、かえって多くの都市伝説を生み、大きな誤解を招く結果となってしまったように思えます。