苗字の分布から先祖を調べる
基本的に、江戸時代は人の移住は、禁じられていた時代です。
しかし、江戸時代には、新田開発が盛んにおこなわれていたので、こうした場合には、大規模な移住がありました。
新田開発の際に、同じ村からまとまって人が開発に出てきたといったようなことは、よく見られます。
また、明治時代以降にも、まるで新田開発のように、同じ村の人たちが集団で、新天地に移住するということは、よくありました。
似たような村が、もう一つできる不思議
こうした、同じ村からの、まとまった人の移住が起こると、面白い現象があらわれます。
移住前にいた村と、そっくりそのまんまの村が、移住先に現れたようになるのです。
これを説明すると、以下のようなことです。
移住前の村をX村、移住後の村をY村としましょう。
X村に多い苗字は「田中・和田・村越・清水・藤崎」だったとしましょう。
すると、Y村でも、「田中・和田・村越・清水・藤崎」という家が、やたら多くなるのです。
つまり、X村に多い苗字を名乗る一団が、そのまま移住してきているということです。
苗字の分布は、村ごとに特徴があるもの
苗字の分布を調べると、村ごとに特徴があるものです。
全国的には珍しい苗字が、その村ではとても多い苗字だったりすることもよくあります。
通常であれば、遠く離れた場所にある村なのにもかかわらず、苗字の分布が似通っているというのは、極めて不自然なことなのです。
にもかかわらず、こうした現象が起こるというのは、双方の村のあいだで、大規模な移住がおこなわれた歴史があると考えることができるのです。
先祖のことを調べていて、ある時代から先の記録がプッツリと途切れてしまっていたら、このような移住の歴史がないか調べてみましょう。
郷土史の本を丹念に読めば、「いつ・どこの村から大規模な移住があった」といったようなことが分かるかもしれません。
そうした手がかりもない場合には、このような苗字の分布などを利用して、先祖の調査をしてみましょう。