家系調査に言い伝えは有効か?
先祖の言い伝えがある家もあります。
「我が家の先祖は武士だった」、「我が家の先祖は殿様だった」といったようなものです。
家系調査をするきっかけが、そもそも「言い伝えを確かめたい」という方は多いです。
言い伝えがあれば、調査は容易に進むように思えますが、実際にとりかかってみるとそうでもありません。
先祖の言い伝えは、多くの場合、いくらかの誤りを含んでいます。
しかし、まったく事実と異なる場合は、それほど多くありません。
大抵の場合、ある程度は事実で、ある程度脚色されていると考えてよいでしょう。
ご先祖の言い伝えは、「伝言ゲーム」
言い伝えがある家というのは、別の言い方をすると文献資料が残っていないわけです。
口伝によって、先祖の情報が伝わっているわけですから、代を重ねるごとに、言い伝えの内容そのものが変容してしまったことも考えられます。
「伝言ゲーム」をして、最初の人が言った言葉と、最後の人に伝わった言葉がまるで違うといったことが、よく起こりますが、それと似たようなものだと思います。
言い伝えに翻弄される家系調査
言い伝えが残されている家系を調べるときには、二通りの調査をすることになります。
一つは、ご先祖様の言い伝えを信じて、それを確かめる調査。
もう一つは、ご先祖様の言い伝えを疑って、その否定材料を探す調査。
はじめから、先祖の言い伝えを疑って調査をするのは、気がひけるのですが、あらかじめこのように考えておかないと、言い伝えに翻弄される結果となり、調査が円滑に進まなくなってしまうからです。
先祖は殿様だった、という言い伝えの場合
「先祖は殿様だった」という言い伝えがある場合を、例にあげて考えてみたいと思います。
みなさんは、「殿様」という言葉から、どういったイメージをされるでしょうか?
大きなお城に住んで、多くの家臣を従えて、遊んで暮らしているといった、イメージを持つ方が多いと思います。
「殿様」という言葉の意味は、実に多義的です。
一般には江戸時代の大名、旗本を指す言葉とされていますが、領主全般を指す言葉としても使われています。
「殿様」だったといっても、実は大名ではなくて、代官や土豪であったというパターンは多いです。
「先祖は殿様だった」という言い伝えは、実際にはこのように脚色されている場合が多いんですね。
言い伝えがある場合は、こうした事をあらかじめ考えたうえで、調査を進めたほうが良いと思います。
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