軍属とは何か?
「軍属(ぐんぞく)」という言葉をご存知でしょうか。
軍隊には、事務を行なう官吏がいました。
彼らを軍属と言います。
軍属の仕事にはいろいろあります。
例えば、通訳の仕事があります。
陸軍通訳官とか陸軍通訳生といった官名があり、彼らは外国語のエキスパートでした。
軍属は、軍人の陰に隠れてそれほど目立たない存在でしたが、太平洋戦争になり、東南アジア一帯に植民地が広がると、大きな存在感を示すようになります。
陸軍司政官・海軍司政官の活躍
南方の植民地には、行政官僚として、たくさんの軍属が派遣されました。
なかでも、中央官庁から派遣された司政官たちは大きな働きをしました。
司政官とは、太平洋戦争中に植民地行政において指導的な役割を果たした行政官僚のことです。
司政官は、陸軍と海軍それぞれに配属されましたが、陸軍のほうが、圧倒的に人員が多かったようです。
司政官に任官されたのは、各省のエリート官僚たちでした。
まれに、軍人や商社マンが任官されたケースもあります。
司政官たちは、南方の軍政を担当しました。
フィリピン、ジャワ、スマトラ、シンガポール、仏領インドシナ、ビルマといった地域の行政を担当しました。
司政官の待遇と、高い能力
司政官たちは、広壮な邸宅を与えられ、メイド、コック、運転手、庭師、下人など多くの使用人を雇い、生活していました。
公用語は英語だったといいます。
戦前のエリートたちは、拙い発音でしたが、発音以外は高い語学能力を持っていました。
司政官は将校待遇ですので、文官でありながら、サーベルを吊るしています。
司政官、軍属だった祖父を調べてみよう
映画にもなった、ベストセラー小説『永遠の0』の影響もあって、太平洋戦争下に祖父がどのような事をしていたのかに、興味を持つ方は、近年増えています。
調べていくうちに、祖父が司政官だったという方も出てくるでしょう。
司政官という官職に着かれた方は、それほど多くありませんが、こういったご先祖を持つ方は、是非、ご先祖の足取りを調査されることをお勧め致します。
太平洋戦争中の資料は、意外と残っています。
司政官という地位にいらした方であれば、確実に残っています。
そういった資料を見て、ご先祖がどのように家系をつないできたのか、子孫を残してきたのかといったことに関心を持つのが、子孫の務めだと思っております。