日本の旧家とは
「旧家(きゅうか)」という言葉があります。
「実家は、400年の歴史を持つ旧家で…」といったような使われ方をします。
しかし、よく用いられるわりに、「旧家」という言葉の定義については、辞書を調べてもあまりよくわかりません。
大辞林によれば「昔から続いている由緒のある家」ということですが、実際にどういった家が「旧家」であるのか、「名家」という言葉との違いについて知るには不充分な説明のように思えます。
旧家・名家に明確な定義はないが…
結論から言いますと、「旧家」という言葉の持つ定義と、「名家」という言葉の持つ定義は、はっきりと定まっているわけではありません。
人それぞれの価値観によって、特定の家が「旧家」や「名家」であると見なされる、ということです。
200年の歴史のある家があるとして、「200年」という歴史を長いと見るか、短いとみるかは、人によって異なってくるでしょう。
ということで、以下で述べていくのは、個人的な考えによるものということで、ご理解ください。
旧家は、地方の土地に土着している
「旧家」という場合には、「昔から続いている由緒のある家」という意味がありますが、「特定の土地に根づいている」という意味が含まれているように思えます。
つまり、「旧家」というからには、数百年に渡って、先祖代々受け継がれた土地に住んでいることが条件となります。
したがって、「華族」の家であれば、明治維新や戦後の時代背景によって、住居を移転していることが多いので、「旧家」ではないということになります。
こうした家は、「旧家」ではなく「名家」というべきです。
旧家は、農家・地主にふさわしい言葉
また、数百年に渡って先祖代々受け継がれた土地に住んでいても、寺院や神社の家系について、「旧家」と言うのにも違和感があります。
「旧家」というのは、農民の家にふさわしい表現だと思います。
旧家は、庄屋・名主なのか?
それでは、「農民」の家系に限定して、考えていきましょう。
江戸時代から存続している旧庄屋、名主の家系を、「旧家」と呼称することに違和感をおぼえる方は、それほどいないと思います。
それでは、庄屋や名主ではない、ごく普通の「自作農」や「小作農」の家系で、数百年に渡って同じ土地に住んでいる家系は「旧家」と言えるでしょうか?
これは、違和感を覚える方もいるでしょうが、古くからその土地に住んでいるのであれば「旧家」と呼称しても差し支えないと思います。
地方の農家の多くは旧家
地方では新しい家はあまりないですが、都市部では新しい住人が多いです。
江戸時代から、その土地に根づいているような家は、ほかの新しい住宅に比べて、とても広いので、町を歩いているだけでも分かります。
また、地方議会や農協・消防団など、地域特有の活動をしているケースが多く、地域内では新しい住民とは異なった存在です。
旧家のしきたりと結婚
そして、「旧家はしきたりが色々とあるので、結婚して苦労した」というような事も話題になることが多いです。
仮に、こうした旧家特有の「結婚後の苦労」を、見ていった場合はどうでしょうか。
地方の農家に嫁ぐと、一般の家庭とは異なった風習がたくさんあります。
したがって、「旧家のしきたり」・「旧家の人と結婚して苦労」といった話も、地方の農家に嫁いだ場合には、ついて回ることになります。
したがってこうした点から見ても、「ある程度長く、その土地に定住している農家」であれば、「旧家」であるのではないか、ということになります。
旧家のしきたりと結婚
とはいっても、先ほどにも書きましたが、「旧家」という言葉には明確な定義はありません。
普段、「旧家」という言葉を頻繁に用いているので、一度自分なりの定義を整理してみたいと思い、こちらの記事を仕上げました。
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