ヨーロッパ諸国の貴族制度との比較
近代日本において、貴族とされる階級は、「華族」ということになるでしょう。
華族は全部で1000家ほどしかありませんでした。
ヨーロッパ諸国と比べると、極めて数が少なかったといえます。
世界各国の貴族の数と割合を比較
世界各国の貴族の数と、人口比率を調べました。以下の通りです。
日本…
現在、旧華族とされるのは1011家(1945年あたりの人口は約7300万人)
イギリス…
現在、約1500家(1945年あたりの人口は約5000万人)
フランス…
革命前:約40万人(人口比、1.5%)
ナポレオン帝政期:2212家(当時の人口は約3000万人)
現在、旧貴族とされるのは約3500家(1945年あたりの人口は約4000万人)
ドイツ…
ワイマール共和制以前:約20000家(当時の全人口は約4000万人)
イタリア…
20世紀初頭:約12000人(当時の人口は約3500万人)
日本は貴族の数が少ない
このように
ヨーロッパ諸国と比べてみると、
いかに
近代日本には
貴族が
少なかったのかが分かります。
ヨーロッパ諸国の例にならえば、
5000家から40000家くらいが妥当だと思います。
華族制度では、
諸外国のように
准男爵やナイト爵が置かれていなかったので、
このように
貴族の総数が少なかったと考えることもできるでしょう。
宮中席次とは
戦前の日本では、
天皇に近ければ近いほど、偉いという制度でした。
宮中席次というのは
それを表したものです。
宮中席次は
第1階から
第10階までの
十段階に分けられていました。
第1階は、大臣、大将、公爵などです。
第2階は、次官、中将、侯爵などです。
第3階は、中央官庁の局長、少将、伯爵・子爵・男爵などです。
第4階は、中央官庁の課長、大佐、衆議院議員・貴族院議員などです。
第5階、第6階は、中央官庁の課長補佐クラス、中佐・少佐などです。
第7階~第10階は、中央官庁の係長クラス、大尉・中尉・少尉などです。
宮中席次は官僚や軍人、
教員などの
公職に着いているものにしかありませんでした。
宮中席次上位者の人数
宮中席次第3階以上のものは、5000人くらいで、第4階以上だと、15000人くらい、第5階以上では20000人以上と思われます。
もしも、宮中席次第5階以上の家族全員を、貴族として計算したとしても人口比0.2%くらいにしかなりません。
ヨーロッパ諸国の例にならえば、これくらい貴族がいてもおかしくなかったと考えられます。
近代日本は貴族を作らなかった
しかし、日本は、それほど貴族を作らなかったのでした。
貴族の数が少ないからといって、貴族の威光が増したのかというと、そうでもありません。
むしろ日本は、貴族が少なすぎたために、歴史から葬り去られてしまったように思えます。
特権こそないものの、ヨーロッパ諸国の旧貴族が未だに爵位を名乗って、社会的にそれが許容されているのに対して、日本はそういった社会ではありません。
日本にヨーロッパ流の貴族制度が根付かなかった理由は、数が少なすぎたからではないでしょうか。
やはり日本の貴族は近代のそれよりも、平安貴族のイメージですね。