戸籍の行間を読む
家系図をつくると決心した方は、まず古い戸籍と向き合うことになります。
旧漢字と変体仮名を調べ、旧民法の知識もいくらか吸収すれば、正確に理解できると思います。
実際に、家系図作成業者は、こうしたことをおこなっています。
これくらいの作業であれば、別に業者に依頼しなくとも、家系探索への情熱があれば、なんとかなると思います。
戸籍から文字内容以上のことを推理する
しかし、戸籍調査を文字から読み取れる内容だけで、終えてしまうのは、非常にもったいないと思います。
戸籍を見るだけで、実にたくさんのことが分かるのです。
多くの戸籍を見慣れた専門家は、戸籍の文字内容だけでなく、文字の配置や書式などからも、多くの事実を読み取るのです。
そして、さらに戸籍から読み取った内容以上のことを推理するのです。
といっても、こうしたテクニックを持っている専門家は、ほとんどいないでしょう。
一般の家系図作成業者であれば、文字の解読だけで終わらせてしまいます。
こちらの記事では、古い戸籍に書かれた内容から推察を試みている一例をご紹介したいと思います。
女戸主の家について
Q、
家系調査をしています。
まずは、戸籍を調査してみようと思いまして、我が家の戸籍を取り寄せてみました。
すると、最も古い戸籍(明治19年式戸籍)の戸主は、黒瀬仁兵衛という曽祖父の名前が記されており、前戸主の欄には、黒瀬ヒサという女性の名前が記されていました。
黒瀬ヒサは前戸主の欄に名前がありますが、戸籍のなかにも入っております。
それによれば、黒瀬ヒサは、黒瀬七兵衛の妹として生まれ、分家して一家を立て、その後養子をとり、家督を曽祖父に譲ったようです。
当時は、女性の地位は低かったと想像しているのですが、このように女性が戸主となっているのには、何か理由があったのでしょうか?
女戸主の家が多い理由
A、
明治時代初期に、女性が戸主となっている家系は意外に多いです。
その理由の一つとして考えられるのは、兵役忌避の問題だと考えられます。
明治時代初期には、戸主や家の跡継ぎは、兵役免除の対象でした。
他にもいろいろな兵役免除規定が存在し、それにともなって、いろんな兵役忌避手段がとられました。
女戸主の家の創設もそういった理由かもしれません。
また、商家の家系であれば、女性を分家させて婿をとらせる女系相続の風習もあったので、そうしたケースも考えられるかと思います。
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