新入社員にとって、サービス残業は当たり前?残業代はないの?
日本社会というのは、
いわゆる「同調圧力が強い社会である」と言われています。
これは、言い換えるならば、
「みんながそうしている、そう思っているのだから、
自分もそうしなければならない」と
人に強く思わせるものであり、
もっと言ってしまうならば、
「みんながそうしている、そう思っているのだから、
お前もそうしろ、そう思え」と
強制するものです。
これは、
日本列島という島国ゆえに生まれた
民族的特徴であると一般的に言われていますが、
このような同調圧力が
現代の日本人を幸せにしているかと言ったら、
そのようなことはないというのが、
多くの人の意見であると思います。
新入社員の残業は日本社会の文化か
さて、以上のことを踏まえて、
新入社員の残業について考えてみましょう。
日本の会社、
あるいは社会そのものを支配する
考え方、価値観の一つに、
目下のものは目上の者を立てる、
というものがあります。
これは儒教に基づく考え方であるのでしょうが、
要するに日本社会や日本の会社というのは、
目上の人に気を遣うことをよしとする集団である、
ということです。
残業しない新入社員は上司に失礼?
そうなりますと、新入社員の前で
その上司が残業をしている時に、
定時になったからと言って、
さっそうと退社をする、ということは失礼なのではないか、
という考えが出てくるのです。
たしかに会社というものは、
定時に始まり定時に終わるべきものなのですが、
上司が残業をしているにもかかわらず、
新入社員が残業をしないで退社をするとは何事か!
といった、非論理的な価値観が共有されているのです。
新入社員の残業は、不合理な事例も
もちろんこれは、
新入社員の中の新入社員ともいうべき、
新卒一括採用の人材にも当てはまる事例です。
それまでアルバイトの経験しか社会経験がない
新卒採用の新入社員の場合、
当たり前ですが、残業をしようにも、
それ以前に仕事に対する
知識や技術といったものがないのが当然です。
ですが、そのような新卒新入社員に対しては、
上司が残業を終えて退社をするまで、
自分の席に座って待っていることが
社内における暗黙の了解となっている、
という会社も存在するのです!
一体なんということでしょうか!
残業しない新入社員はモンスター社員か?
ちなみにこのような会社組織の中で、
あくまで「常識」を持ち出して、
残業に精を出す上司を前に、
定時になったので帰らせていただきますと
挨拶をして退社をする新入社員は、
変な人という目で見られることになります。
これもまさに日本社会といったところですが、
面と向かっては特に批判はされることはないでしょうが、
なんとなく自分がほかの社員と比べて扱いが違う、
と感じるようになってきます。
また、確実に社内の出世レースからは
外れることになるでしょう。
新入社員に求められる、残業代ゼロのサービス残業
さて、今度は新入社員が実際に残業をする場合について、
お話したいと思います。
いざ新人も残業をするようになると、
なんと新人のうちは、
サービス残業をするのがやはり暗黙の了解に
なっていたりすることがあります。
要するに、新入社員というのは、
仕様期間のような存在なのだから、
会社の仕事を覚えることが先決であるがゆえ、
残業代がゼロであっても仕方がない、というわけです。
要するに残業代ゼロは
仕事のイロハを覚えるために払う
授業料だというわけです。
残業代を払わないのは当たり前?
当たり前ですが、
定時を過ぎての残業は
自分の時間を削ることになります。
残業代というものは
その埋め合わせとして会社が支給するものなのですが、
会社の経営状況にかこつけて、
何かと理由をつけて
残業代を払わないという会社が多々あるのは、
皆さんもご存じのとおりです。
当然問題なのですが、
この悪しき風習は
なかなか改善しそうにありません。
新入社員に残業しないという選択肢はないのか?
つまり、以上考察したように、
新入社員は残業をしないですむのかという
設問それ自体が、
この日本の企業風土の中においては、
成り立たないと言っていいかもしれないのです。
残念なことですが、それが真実なのでしょう。
昨今、働き方に注目が集まっていますが、
これから先、日本人は本来の人間らしい、
働き方をすることが出来るようになるのでしょうか。
今回は、
「新入社員が残業をしないことはありえることなのか」
について考えてみました。